――城崎丈太郎は凡人である。
成績、運動神経、すべて平均値。まるで絵に描いたような平凡学生。
しかし……ある理由から、彼は学園の有名人だった。
彼は「異文化交流研究会」という、小さなサークルの代表を務めている。
名前だけを聞けば、海外の文化に思いを馳せ、外国人との交流を熱心に行っているような……
そんな印象を持つかもしれない。
しかし、それは間違いである。
異文化交流研究会は――学園でも随一の、変人集団だったのである。
とてつもない美女のくせに、UFOや宇宙人との出会いを夢見て研究会を創設した先輩……
大して霊感は無いくせに幽霊、オバケ、妖怪なんでもござれのオカルトマニアな幼馴染……
無愛想でクールな本の虫、しかし口を開けば刺さるような毒舌オンパレードの後輩女子……
女子だけではない。
馴染みの悪友は発掘マニアの遺跡バカだし、
女こそ、男にとっての最大の異文化だと言い張るナルシストな後輩男子……
etcetc。
半ば強制的に、二代目会長を襲名させられた丈太郎は、
今日も会長職という名の下働きに奔走するのだった。
だから――変人たちの中で、平凡な彼の口癖は、いつもこうだ。
「普通の人、求むっ!!」
そんなある日――丈太郎は、街角で一人の少女と出会う。
遠い異国の地からやって来た、迷子の少女……
まさか、その少女が一国の姫君だとも知らずに、丈太郎は声をかける。
それは……信じられない体験に満ち満ちた、暑い夏へのプロローグだった。
エスト・フラグレンス
「気がついたら、迷子のお知らせをされていました」
石油とレアメタルを大量に算出する小国「ムハール王国」の王女で第一王位継承者。
すさまじい世間知らずで、日常のことは本当に何も出来ないに等しい。
ある理由によって、日本には幼い頃から関心を持ち続けており日本語も堪能。
様々な日本文化にも通じている。(誤解している文化もあり)
頭は非常によく、同じ失敗はしない。
木住野 純
きしの じゅん
「ゴハン! お腹すいた~」
元気で明るいムードメーカーな少女。
主人公とは幼稚園からの腐れ縁であり、兄妹同然に育った幼馴染。
オカルト好きで、丈太郎を怖がらせるのも好き。彼女にとって、異文化=オカルトである。
しかし大して霊感は無く、ただの物好きで終わっている感も否めない。
何かにつけて、丈太郎の手作りメシを食いたがる食いしん坊でもある。
黒木 円
くろき まどか
「アタシの好奇心を、大いに刺激してくれたまえ!」
UFOと宇宙人を信じる熱血乙女にして、サークル「異文化交流研究会」の創設者。
三年になり引退したと言いつつも、活動には積極的に参加している。
スタイル抜群で日本人離れした美貌を持つ超美人なのだが……全校の学生から「性格さえマトモなら」と惜しまれている。
手当たり次第にSF認定するため、丈太郎は頭を抱えることが多い。
陸奥 榛名
むつ はるな
「その顔、なぜかゾクゾクします」
冷静沈着で何事にも動じない天才美少女。
丈太郎にとっては後輩にあたる。
いつも何かの本を読んでいる本の虫。
家は神社で、巫女を務めていたりもする。
クールな性格だが口数が少ないわけではなく、むしろ人を混乱させるタイプの饒舌派。
しかも、その口からほとばしる言葉の数々は肺腑をえぐるようなドSワードばかり。